テレビ放送系

4K放送/8K放送って結局何がいいの?を解説します

9月 22, 2020

4K放送/8K放送

 

最近よく聞く4K放送、8K放送こと「新4K8K衛星放送」。

 

疑問
なんかよく分からないけど高画質なんでしょ?

 

こんな漠然としたイメージを抱かれている人も多いかと思いますが、4K放送、8K放送で何が変わるのか。

映像業界に身を置く一人として、基礎的な情報を共有したいと思います。

 

この記事で分かる事

  • 4K/8K放送とは何か
  • 4K/8K放送で何がよくなるのか?

 

 

 

4K/8K放送って何?

Kって何?

 

4Kや8Kの”K”の謎

そもそも4Kや8Kの”K”って何なんでしょうか?

 

4Kや8Kの”K”は1000を意味しており(厳密に言いますとデジタルの世界では1024ですが、ここでは便宜上1000とします)、つまり4000や8000を表現しています。

ではこの4000や8000というのは何を意味しているのでしょうか?

 

4Kや8Kとは解像度を指している

映像やテレビ、モニターは画素(ピクセル)の集合体で表現されますが、そのピクセルの数を解像度と言います。

4Kや8Kというのは映像やテレビの横解像度を表現しており、4096ピクセルや3840ピクセルを4K、8192ピクセルや7680ピクセルを8Kと表しています。

 

4K/8K放送以外の現在の2Kのテレビ放送では、地デジや一部のCS放送は1440ピクセル×1080ピクセル(約155万画素)という解像度で、BS放送などは1920ピクセル×1080ピクセル(約200万画素)の解像度で映像が構成されています。

※4K/8K以外の放送の横解像度は最大1920ピクセルですので、2K(約2000ピクセルという意味)と表現される事もあります。

 

4K放送ではこの解像度が3840ピクセル×2160ピクセル(約800万画素)に、8K放送においては7680ピクセル×4320ピクセル(3300万画素)までそれぞれ解像度が増えており、従来より高精細な映像表現を可能としたのです

 

4K/8K解像度とは

4K/8K解像度のイメージ(DXアンテナHPより)

 

 

コラム:解像度をイメージする

ここで解像度を理解するための例として、正方形のタイルで丸を作ることを想像してみましょう。

 

仮に10個の正方形タイルで丸を作る場合、どう頑張っても丸の輪郭はガタガタしてしまいますよね?

一方、10個の丸を作ったそれと同じ正方形タイル1000個で丸を作る場合、真ん丸にはならないかも知れませんが、ガタガタはかなり細かく曲線に近い丸になる事が想像できると思います。

この10個や1000個を解像度と表現します。

 

ここで「丸を構成しているのは同じ正方形のタイルなのだから、丸の曲線部分はどっちにしてもガタガタなんじゃないの?」と考えたあなた。

素晴らしい!その通りなんです。

 

 

でもその丸全体を映像としてテレビに出力しようとした場合、1000個の解像度の丸全体を画面に映すには、10個の丸よりも相当”引き”でないとテレビ画面に映り切りません。

単純計算で1000個のタイルで出来た丸は、10個のタイルの丸の100倍の大きさの丸になるわけですから。

 

1000個の解像度の丸を10個の解像度の丸と同じサイズになる様に映した場合・・・1000個の解像度の丸の曲線のガタガタの細部に至るまでテレビに映るでしょうか?

少なくとも10個の丸のガタガタよりは目立たないはずです(繰り返しますが丸全体を映すため”引き”になっているからです)。

 

4K/8K放送や4Kテレビ、8Kテレビが高画質だ!というのは、この丸(被写体)を従来の200万よりも多い(細かい)タイル(解像度)で表現できるから(よりガタガタが目立たない)というわけです。

 

4K/8K放送では解像度以外にも高画質の要素がたくさん

4K/8K放送では、解像度が上がる=高精細な映像表現になる以外に、従来の放送よりも進化した映像・音声技術が導入されています。

 

プログレッシブ放送

4K/8K放送からプログレッシブ放送も採用されています。

 

例えば1920ピクセル×1080ピクセルの映像を表示するとします。この場合1920ピクセル×1ピクセル線が縦に1080本ある映像という事も出来ます。

プログレッシブ方式で表示する場合は、1920ピクセル×1080ピクセルの一枚の完全な絵を一度に表示しますが、インターレース方式で表示する場合は、縦1080本のうちの奇数ピクセル部分だけ(1行目、3行目…1079行目)を表示し、その後偶数ピクセル部分(2行目、4行目…1080行目)だけを表示することで1枚の絵を完成させるのです。人間の目の残像を利用して1枚に見せるとも言えます。

※技術的に細かく言いますと正しい表現ではないのですが、ここではイメージとして捉えてください。

 

従来のインターレース放送では映像が”ジャギジャギする”シーンも見受けられましたが、プログレッシブ放送をプログレッシブ視聴環境で視聴できる様になれば、より自然な映像を視聴できる様になります。

 

インターレース画像

インターレース方式は映像の半分ずつを表示(EIZOのHPより)

 

プログレッシブ画像

プログレッシブ方式は1枚丸々を表示(EIZOのHPより)

 

 

HEVCコーデックの採用

これまでのMPEG-2コーデックやH.264(AVC)コーデックではなく、H.265(HEVC)コーデックでの放送が可能となります。

HEVCコーデックは従来のMPEG-2コーデックの約4倍の圧縮効率ですので、同じデータサイズの映像で4倍の映像情報を再現できるようになる、すなわち従来よりも画質の劣化を防げる(=高画質)様になります。

 

カラースペース BT.2020の採用

色の表現範囲が従来のBT.709という色域から大きく広がりました。より繊細で豊かな色彩描写を可能としています。

 

Rec.709とRec.2020の違い

Rec.709とRec.2020のカラースペース

 

図の馬蹄形の色が付いている部分は人間の目が知覚できるRGBの色を平面上に再現したものです。その中の三角形が表現できる色の範囲(の規格)です。

現在の2K放送で採用されているBT.709(Rec.709)の三角形よりも4K/8K放送で採用されているBT.2020(Rec.2020)の三角形の方が大きくなっていることが分かります。

より人間が知覚している色に近い色表現が可能になるという事です。

 

注意ポイント

規格としてBT.2020が存在していますが、このカラースペースの全域を表現できるテレビや映像が存在しているかは別の問題です。

業務用のレーザープロジェクターはBT.2020で定められた色域をかなりカバーできつつありますが、テレビやモニターのカバー率はまだ100%ではなく、BT.2020の全領域を使ってきちんと制作された映像が増えてくるのもこれからでしょう。

 

 

ビット深度の拡張

ビット深度とは、1画素(1ピクセル)が表現できる色の数を表します。

映像の画素はRGB(赤・緑・青)3色の加算混色で表現されますので、ビット深度が1bit変わるだけでも表現できる色の数に大きく影響します。

 

従来の放送では8bit(R:256×G:256×B:256=約1677万色)での表現でしたが、4K放送では10bit(約10億7374万色)、8K放送では12bit(約687億色)で表現できるようになります。

単色のグラデーションを256色(8bit)で表現するのと、4096色(12bit)で表現できるのと、どちらがより滑らかなグラデーションになるかを想像すると、いかに12bitが綺麗かが分かりますね。

 

HDRの採用

4K/8K放送では、HLG方式のHDR(High Dynamic Range)の放送も始まっています。

HDRは従来のSDR(Standard Dynamic Range)と比べて、輝度の表現幅が広がっています。それにより映像の暗い部分と明るい部分の差(コントラスト)がより大きくなり、よりリアルで自然な表現を実現します。

 

解像度よりもコントラスト?

人間の目は「解像度」よりも「輝度の差=コントラスト」に強く反応しますので、4K/8Kという解像度よりも映像のコントラスト比が高い方が「高画質だ」と認識しやすくなります。

4K/8Kと言うととかく「解像度」に着目しがちですが、HDRをはじめとする各映像技術の進化にも注目したいところです。

 

 

HFR化

HFRとはHigh Frame Rateの略で、従来のフレームレートよりも高いフレームレートの映像放送を指します。

フレームレートとは1秒間に何コマ(何フレーム)の映像を表示するかを示すもので、この枚数が多いほど滑らかで自然な映像になります。

 

パラパラ漫画で想像すると分かりやすいのですが、同じシーンを10枚のパラパラ漫画で描いた場合、たった10枚でしか表現できないためにカクカクしてしまう映像も、1000枚のパラパラ漫画で描くと滑らかで自然な動きが再現できますよね?

つまりフレームレートが高いほど滑らかな動きを表現できる様になるのです。

 

従来のテレビ放送では60i(1秒間にインターレース方式で60コマを表示※厳密には59.94コマ)というフレームレートで放送されています。

インターレース方式は先ほど説明しました通り残像頼みです(笑)ので、映像の滑らかさが不足するシーンも多く見受けられました。

 

一方4K放送では60p(1秒間にプログレッシブ方式で60コマを表示)、8K放送では120p(1秒間にプログレッシブ方式で120コマを表示)までを規格化しています。

人間の目は1秒間に240コマ位で飽和する(それ以上のフレームにしても差を認識できない)と言われていますので、ここはさらに追及されていく部分だと思われます。

 

音声フォーマットの拡大

映像だけでなく、音声の高品質化も進んでいます。

4K/8K放送では従来のMPEG-2 AACではなく、MPEG-4 AAC(48kHz/24bitまで対応)とMPEG-4 ALS(Audio Lossless Coding)の採用が決まっています。

 

サラウンドは4K放送が5.1chサラウンド、8K放送では最大22.2chの放送が可能となります。

 

 

たか
カラースペースの説明の時も触れましたが、これらの高品質化は規格先行で、映像自体、あるいはテレビや周辺機器が後からそれらに対応していくというケースも多々あります。

ですので、これから4K/8K対応機器の購入を検討される方は、上記の様な項目にどこまで対応しているかを踏まえて選定しましょう

 

 

4K放送/8K放送チャンネル一覧

4K8Kチャンネル一覧

 

2020年9月現在の4K/8K放送チャンネルをご紹介します。

チャンネル名 放送種類 無料/有料
NHK BS4K BS 4K 右旋 衛星契約が必要
BS日テレ4K BS 4K 右旋 無料
BS朝日4K BS 4K 右旋 無料
BS-TBS4K BS 4K 右旋 無料
BSテレ東4K BS 4K 右旋 無料
BSフジ4K BS 4K 右旋 無料
ザ・シネマ 4K BS 4K 左旋 有料(スカパー!4K)
ショップチャンネル 4K BS 4K 左旋 無料
4K QVC BS 4K 左旋 無料
WOWOW(4K) BS 4K 左旋 有料 ※未開局
NHK BS8K BS 8K 左旋 衛星契約が必要
J SPORTS 1(4K) 110度CS 4K 左旋 有料(スカパー!4K)
J SPORTS 2(4K) 110度CS 4K 左旋 有料(スカパー!4K)
J SPORTS 3(4K) 110度CS 4K 左旋 有料(スカパー!4K)
J SPORTS 4(4K) 110度CS 4K 左旋 有料(スカパー!4K)
日本映画+時代劇 4K 110度CS 4K 左旋 有料(スカパー!4K)
スターチャンネル 4K 110度CS 4K 左旋 有料(スカパー!4K)
スカチャン1 4K 110度CS 4K 左旋 スカパー!4K契約者無料
スカチャン2 4K 110度CS 4K 左旋 一部PPV有料(スカパー!4K)

 

 

4K放送/8K放送って結局何がいいの? まとめ

4K放送/8K放送は映像や音質において従来の放送から大きく技術進歩を遂げています。

その為、対応した機器やサービス契約が必要になりますが、あくまで4K/8Kはオプションサービスであり、現在の2K放送は引き続き放送されます。

ですので、地デジへの移行時とは違い、4K/8K放送を視聴したい人以外は慌てて対応したテレビなどを買い替える必要はありません

 

でも画質や音質にこだわる方にとって、映像を楽しみたい方にとっては楽しみなサービスであることも間違いありませんね。

 

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