日本は世界的に見てもボクシング競技が盛んな国です。
古くは日本人初の世界チャンピオンになった白井義男さんの試合の視聴率は96%に達したこともあるほど、日本人はプロレスとボクシングになじみがあります。
でも今、ここ50年で最高に強い日本人ボクサーがいる事をご存知ですか?
目次
世界チャンピオンの日本人ボクサー
2020年8月現在、メジャーボクシング団体における日本人の世界チャンピオンは6人いますが、その中でも知名度的には村田諒太選手が一番人気が高いのではないでしょうか。
村田選手は2012年のロンドンオリンピックでボクシングミドル級金メダリストになり、その後鳴り物入りでプロボクシングの世界にやってきました。世界的なボクサーのプロモートやマッチメイクを手掛けるトップランク社と契約し、ラスベガスでも試合をするなど、一躍メジャー選手の仲間入りを果たしました。
村田選手が凄いのは、なんといってもミドル級(~約72.57kg)の世界チャンピオンになったというところです。
日本人は体格に恵まれた人種ではないため、スポーツの世界でも小体重の世界王者を多く輩出しています。
ボクシングで見ても、日本では「黄金のバンタム級(~約53.52kg)」と言われる通り、軽い階級での世界チャンピオンが中心でした。そんな中体格の大きな海外の選手をなぎ倒して世界チャンピオンになったのですから、その人気も当然です。
ですが、村田選手と双璧をなす、世界的にはそれ以上の知名度と人気を持つ日本人ボクサーがいます。
そう黄金のバンタム級世界チャンピオン 井上尚弥選手です。
彼のどこが凄いのでしょうか?彼の軌跡を共有したいと思います。
そんな僕が心の底から震える試合をする選手、それが井上尚弥選手です。彼の凄さに、少しではありますが触れてみます。
日本人ボクサーに対する世界の評価
白井義男さんを皮切りに、歴代90人を超える日本人ボクサーが誕生しています。その中には名ボクサーと言われる選手も少なくありません。
しかし、世界的には日本人ボクサーはあまり評価されてきませんでした。
その理由はいくつかあると考えられますが、まずは体が小さい事でしょう。
特に海外の観客は大きな体格の人同士が激しくどつき合う、そんな試合が好きです。軽い階級にはスピードとテクニックが詰まった試合も多いのですが、コアなファンでない限りそれを楽しめません。
やっぱり一発のパンチで大男を吹っ飛ばす、そんな試合の迫力には勝てないのです。
もう一つの理由、それは日本人が海外で試合をする機会が少なかったという事もあります。
近代ボクシング発祥の地はイギリスと言われています。その後アメリカでも人気に火が付き、今ではラスベガスやニューヨークをボクシングの聖地と言ったりもします。
そういった土壌の中、日本で試合をしても、それがたとえ世界戦だとしてもなかなか注目されませんでした。
同じアジアのフィリピン出身のノニト・ドネア選手やマニー・パッキャオ選手が世界的な選手になれたのも、その実力をラスベガスなどで示し続けたからです。
それでもラスベガスのメイン会場で試合が出来るようになるまでには相当の年月がかかっています。
階級の小さいアジア人がラスベガスのメイン会場でメインを張る試合をするというのは簡単ではありませんが、その道を経た先に世界的スーパースターの椅子があるのも事実なのです。
井上尚弥選手への世界的評価
日本人選手が世界からなかなか注目を浴びない中、まだまだ海外での試合経験もなかった井上尚弥選手ですが、その桁外れな強さが海外でも徐々に話題になっていきました。
井上尚弥選手の戦績
井上尚弥選手の偉業
プロデビュー6戦目で世界チャンピオン
8戦目で2階級制覇
16戦目で3階級制覇
現在のプロ戦績は19戦19勝全勝(16KO)で、その強さとKO率の高さがよく分かります。
しかし海外では戦績だけでは評価されません。井上選手の卓越したボクシングテクニックとスピード、そしてパンチ力が話題となり、世界からも「モンスター」と呼ばれる程注目を浴びるようになりました。
特に井上選手の適正体重に近い階級での試合を観ながら「この選手・・・今まで観てきた選手とは格が違う。化け物だ・・・」と愕然としたのを今でもしっかりと覚えています。
パウンド・フォー・パウンドの評価
格闘技の世界にもありますが、ボクシングの世界でもパウンド・フォー・パウンド(PFP/P4P)と呼ばれる評価があります。
ボクシングは階級制のスポーツです。一般的に体重が大きい選手が小さい選手よりも圧倒的に有利であり、命の危険を伴ってしまう競技ですので、階級を超えた戦いはファンの妄想の中でしかありえません。
そんな妄想をランキングしたもの、つまり「全階級の選手が仮に同じ体重だとして、一番強いのは誰なのか?」をランキングしたものが”パウンド・フォー・パウンド”ランキングとなります。
アメリカをはじめ世界中のボクシング雑誌でパウンド・フォー・パウンドのランキングをつけるのですが、本場アメリカの大手雑誌が井上尚弥選手をパウンド・フォー・パウンドランキング1位をつける程、世界が彼に注目しているのです。
強い選手と戦いたいという姿勢
プロボクシングはビジネスという側面もあります。世界チャンピオンで長くいればいる程、本人も所属ジムも儲かります。
このこと自体は決して悪いことではないのですが、この大人の事情により「対戦する相手を選ぶ」という側面がうまれてしまいます。
井上尚弥選手自身、アマチュア時代からこの大人の事情が嫌だったようで、実力で世界へ駆けあがり、実力でお客さんを呼ぶと豪語しています。
対戦相手はジムやプロモーターが決める事が一般的ですので、井上尚弥選手の試合の全てがMAXの相手だったとは言いませんが、それでも強い人を避け勝ちを重ねるという姿勢はなく、目の前の強者に向かっていく姿勢が共感を呼びました。
世界から恐れられる強い選手になった証拠でもあります。
WBSSへの参加
WBSSとはWorld Boxing Super Seriesの略で、簡単に言いますと、メジャー4団体の世界チャンピオンかそれに準ずる猛者を集めてトーナメントを組み、その階級で一番強い人を決めましょうという大会です。
この大会に招聘されること自体が名誉なことですし、そこで優勝する事は(怪我や諸事情でチャンピオン全員が参加していないという面はあるにせよ)その時期のその階級の正真正銘の世界一という事でもあります。
この大会に井上尚弥選手は招待され、「これこそ自分が求めていた環境」と喜んで参加しあっけなく優勝してしまいます。
WBSS戦績
vsファン・カルロス・パヤノ(元WBA世界スーパー王者)1R 1分10秒 KO勝ち
vsエマヌエル・ロドリゲス(IBF世界王者) 2R 1分19秒 TKO勝ち
vsノニト・ドネア(WBA世界スーパー王者) 12R 3-0判定勝ち【優勝】
「井上尚弥選手と判定までフルラウンド戦ったドネア選手はさすが!」
と言われていました。
「ノニト・ドネア選手に勝った!」ではなくこの評価。強さを認められていることが分かりますね。
井上尚弥選手の人となり
ボクシングは拳がものを言う世界でもありますので、ヤンチャな青少年時代を過ごしてきた人が世界チャンピオンになるケースも少なくありません。
個性でもありますし、そういった世界チャンピオンの方々もとても魅力的です。
その一方で井上尚弥選手は幼少期からボクシングをスポーツとして捉え、お父さんのボクシング教育を受けながら真摯に向き合ってきた選手です。
穏やかな性格で紳士的な人です。圧倒的に強いため、あまり顔面を殴らてもいませんのでボクサーとは思えない程(失礼(笑))ハンサムでもあります。
井上尚弥選手を知ってから試合を観るべき
ボクシングの試合は選手の人となりや環境もリングで観て取れます。
もちろん試合だけでは分かりません。
その人の事を多少でも知った上で試合を観ると、選手の背中やセコンドから新しい物語を観ることができます。感情移入するか、嫌いになるか、好きか嫌いか、楽しいかそうでないかは観客一人一人が決める事ですが、選手のバックボーンや考えを知った上で観るボクシングは格別に面白くなります。
選手によってはあまり物語を感じられない選手も確かにいますが、井上尚弥選手は辰吉丈一郎選手やマイク・タイソン選手とはまた違った世界観を感じさせてくれるのです。
まずはひかりTVのYouTubeドキュメンタリーを観る
ひかりTVは井上尚弥選手のオリジナル番組を多く制作しています。無料で観られるものもありますので、まずはそちらからご覧いただくといいかと思います。
◆ひかりTV 【井上尚弥】BEYOND MONSTER◆
◆井上尚弥選手ドキュメンタリーをもっと観たい方は◆
日本ボクシング界の至宝 井上尚弥をひかりTVで観る まとめ
プロ野球のイチロー選手を好きかどうかは別としても、あの天才を同じ時代に観ることが出来たのは嬉しいことです。
ボクシング界にも今天才日本人ボクサー井上尚弥選手がいるんです。
井上尚弥選手は世界が認める日本人ボクサー
実力だけでなく人となりも素晴らしい人格者
ボクシングは選手のバックボーンを知って観ると更に楽しめる
ひかりTVは井上尚弥選手の独占番組放送中
それまでドキュメンタリーや過去の試合を観て待つしかないですね。