僕は映像関係の仕事をしていますので、色々な動画編集、動画変換のソフトを扱っています。
AdobeのPremiererやBlack MagicのResolve、Grass ValleyのEdiusなんかも使っています。ソフト選定も僕の仕事です。
業務用に近いこれらのソフトだけでなく、ペガシス(Pegasys)のソフトも選定し使っています。
というのも、ペガシスのソフトでも結構本格的な映像処理は出来ますし、ペガシスのソフトはどれも直感的で使いやすく、映像業務経験の浅い人にもとっつきやすいソフトだからです。
ペガシス3大映像用ソフト
- TMPGEnc Video Mastering Works 7(TVMW7)
- TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6(TMSR6)
- TMPGEnc Authoring Works 6(TAW6)
どれも大変優秀なソフトですが、これから映像を扱ってみようと思っている方にとっては、各ソフトの使用目的や、ソフトによって出来る事と出来ない事の差が分かりづらい様にも思います。
そこでTMPGEncシリーズ利用歴20年以上の僕が、各ソフトの特徴を簡潔にまとめてみます。
この記事で分かる事
- TVMW7、TMSR6、TAW6 特徴まとめ
- TVMW7、TMSR6、TAW6 出来る事と出来ない事
- 目的別ソフト選定ガイド

今回は各ソフトの特徴を共有し、みなさんのソフト選びの参考にしていただければと思います。
目次
予備知識 ~動画について知ろう~
避けては通れないエンコード
パソコンやスマホなどで扱う”動画”は一般的に映像と音声で構成されています。そこに字幕が付いているものもあります。
映像と音声はそれぞれコーデックと呼ばれる圧縮アルゴリズムに従ってエンコード(圧縮・変換)され、エンコードされた映像と音声ファイルはコンテナに格納され動画ファイルになります。
普段私たちが目にする映像や音声のほとんどは様々なコーデックでエンコードされています。
例えば、撮影される映像はカメラのレンズやセンサーを通り記録用媒体に記録されますが、その記録の際には何かしらのコーデック(圧縮アルゴリズム)によってエンコードされる事が多いです。
また、撮影時にエンコードされたデータをテレビで放送する場合も、放送用の映像・音声の各コーデックに再度エンコード(圧縮)され放送されます。
放送を録画する場合もまたまたエンコードして録画する事もありますし、録画したデータの不要な部分をカットしたり、複数の動画を繋いだり、テロップをいれたり・・・の様な編集作業をする場合にも最後にエンコードしなければいけません。
この様に、映像や音声は場面場面で様々なコーデックでエンコードされている事がわかると思います。
エンコードを活用する
先の様に、無意識、あるいは半強制的にエンコードをする必要が出る場合の他に、意図的にエンコードをするケースもあります。
たとえば撮影した動画データや、録画したデータのファイルサイズが大きい場合、そのままたくさんの動画を保存し続けるとなると、相当大きな容量のHDDが必要になってしまいます。
そういった時に、映像ファイルや音声ファイルをそれぞれエンコードする事で、動画のファイルサイズを小さくすることが出来ます。
あるいは、撮影した動画データをDVDやブルーレイにしてテレビで見られる様にしたり、はたまたYouTubeにアップロードする人もいるでしょう。
そういった場合も、DVD-VIDEOやブルーレイの規格に準じた動画ファイルに変換(エンコード)したり、YouTubeに対応しているフォーマットにエンコードすることで目的のファイルを生成します。
エンコードの功罪
エンコードには可逆圧縮(元に戻せる圧縮)と不可逆圧縮(一度圧縮したら元には戻せない圧縮)とがありますが、私たちが普段取り扱っている映像・音声の多くは不可逆圧縮です。
そしてここが重要なのですが、不可逆圧縮を伴うエンコードの場合、映像や音声は少なからず劣化してしまいます。
説明してきました通り、エンコード(圧縮)をすることで、動画ファイルのデータサイズを小さくすることが出来ます。
エンコードする事で、利用目的や規格に適合した動画ファイルに変換することが出来ます。
しかしそのエンコードによって画質や音質が少なからず悪くなってしまっているのです。
「エンコードによるファイルサイズの縮小と、画質・音質とはトレードオフの関係にある」という事をしっかりと覚えておきたいものです。
エンコードに関して気を付けること
では高画質・高音質の動画ファイルを残すために、私たちは何に気をつけたらいいのでしょうか?
高品質動画の為に
不要なエンコードを避ける
最新のコーデックでエンコードする
最適な設定でエンコードする(ビットレート・解像度などなど)
優秀なエンコードプログラム、エンコードソフトを利用する
こういった点に注意して動画を扱う事で、より高品質な動画を保存する事が可能になります。
現在ではフリーソフトでも十分こういったコントロールが可能ですが、専門の知識や作業の手間がどうしても必要になりますので、初心者の方には有料ソフトの利用をお勧めします。
TVMW7、TMSR6、TAW6 特徴
それではペガシスのTMPGEncシリーズの3ソフトがどんなソフトなのか。何を目的に利用するのかを見ていきましょう。
TMPGEnc Video Mastering Works 7
TMPGEnc Video Mastering Works 7は編集やエンコードが出来るマルチなソフトです。
TMPGEnc Video Mastering Works 7で出来る事
エンコード・ファイル変換
TMPGEnc Video Mastering Works 7のベース機能と言えば、やはり動画ファイルのエンコード・変換機能です。
入力ファイルも出力ファイルも現在主流となっているファイルフォーマットのほとんどに対応していますし、エンコード設定をとても細かく調整できます。
このソフト一本で現在主流な動画・音声フォーマットの多くに対応できるのはとても大きな魅力です。
ただし、超最新コーデックのH.266/VVCやAV1にはまだ対応していません(対応しているソフトは試作レベルの業務用以外ありませんので当たり前ですが)し、AppleのProResファイルは入力のみの対応となっており、出力は出来ませんので注意が必要です。
また、HDR(High Dynamic Range)映像の入出力にも対応していますので、これからの撮影用カメラやHDR放送の動画データも安心して扱えますね※。
※いわゆるTS抜きでテレビ録画したデータしか扱えませんので注意が必要です。
ポイント
DVD規格のMpeg2にエンコードするエンジンには、発表当時世間を席捲したPegasys製のエンコードエンジンが、H.264/AVCやH.265/HEVCエンコードにはこれまた世界中で採用されている評判のx264/x265のエンコードエンジンが採用されています。
エンコードエンジンはエンコード(圧縮)時の画質・音質を決定する重要な要素です。世界的に定評のあるエンジンを採用している点はとても評価できます。

無料で高品質なエンコードを行えますのでとても魅力的ですが、設定を間違いやすいですし、何よりエンコードまでの下処理に時間がかかっていました。
TMPGEnc Video Mastering Works 7を使用する事で、エンコードの準備時間を5分の1程度にまで減らせました。
もっと早く導入しておけば良かったと思った記憶があります。
動画編集
TMPGEnc Video Mastering Works 7は動画編集機能も充実しています。
動画をカットしたり、繋げたりする編集はもちろんの事、音声レベルの調整や、ブルーレイやDVDのチャプター設定をする為に必要なIフレーム(キーフレーム)の設定も可能です。
編集のインターフェースもとても優秀で、直感的に作業できる様になっています。
映像・音声フィルター加工処理
意外と知られていませんが、TMPGEnc Video Mastering Works 7でも色々なフィルター処理を施すことが可能です。
代表的な機能には以下のようなものがあります。
VMW7の動画加工機能(抜粋)
- インターレース/プログレッシブ変換
- 映像のクロップ/リサイズ
- モザイク加工
- 色調調整(簡易カラーグレーディング)
- 色空間変換
- 手振れ補正処理
- 音ズレ補正
- 音声正規化処理
- 字幕表示
- カラオケ字幕処理
などなど、多すぎて列挙しきれませんが、隠れた名機能は多いんです。
映像・音声ファイルの分離・多重化
動画は映像と音声ファイルをコンテナの中に格納してあると説明しましたが、映像と音声のファイルをコンテナに格納する事を多重化といい、映像と音声をコンテナから出し、ばらばらにすることを分離と言います。
TMPGEnc Video Mastering Works 7ではエンコード・変換の他にこの分離・多重化の機能が付いています。全ての動画ファイルに対応しているわけではありませんが、Mpeg2やmp4などメジャーな動画に対応していますので重宝します。
この分離と多重化では映像・音声ファイルをエンコードしませんので、劣化をさせることなく各ファイルを取り出したりくっつけたりできます。
TMPGEnc Video Mastering Works 7で出来ない事
出来ない事を網羅する事は難しいですが、「出来ると勘違いされそうですが、実は出来ない事」を挙げてみます。
VMW7で出来ない事
- DVD/ブルーレイのオーサリング
- テレビ録画
- Apple ProResファイル出力
- 部分エンコード
簡単に説明しますね。
まず、このTVMW7では、DVDやブルーレイの規格に準拠した映像・音声ファイルを作る(エンコードする)事は出来ますが、このソフトでDVD-VIDEOやBDAVやBDMVの様なブルーレイ構造のデータを作る事は出来ません。
もしブルーレイやDVDのデッキで再生できるディスクを作りたい場合は、別途TMPGEnc Authoring Works 6の様な「オーサリング」に対応したソフトを用意する必要があります。
またこのソフトを使って、パソコンでテレビ録画をすることも出来ません。ブルーレイデコーダーなどで録画したデータを扱う事も出来ません。
テレビ録画データを扱いたい場合は、いわゆる「TS抜き」状態で録画されたデータしか扱えません。
部分エンコードに関しては、次のTMPGEnc MPEG Smart Renderer 6のコーナーでご説明します。
◆TMPGEnc Video Mastering Works 7
ダウンロード版は安価でお得です。
パッケージ版はユーザーズガイドが付属しますので、操作にも動画の勉強にも便利です。
ペガシスVMW7公式
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6についてまとめてみます。
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6で出来る事
動画編集
これはTMPGEnc Video Mastering Works 7と同じですね。とても直感的に操作できるGUIで、簡単に動画をカットしたり繋いだりという編集ができます。
また、テレビ録画データを編集する場合※、TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6のCM候補自動検出機能により、100%の精度ではないものの、かなり高精度にCMだけを検出してくれます。
これによりCMカット編集にかかる時間を相当短縮できます。
※こちらもいわゆるTS抜きでテレビ録画したデータしか扱えません。
映像・音声フィルター加工処理
これもTMPGEnc Video Mastering Works 7同様、映像や音声のフィルター処理が可能ですが、出来る事はかなり限られています。
音声の正規化や音ズレ補正辺りは可能ですが、映像のクロップやモザイク処理なども出来ません。
「本格的なフィルター加工をしたい場合はTMPGEnc Video Mastering Works 7」を使ってねという事でしょう。
スマートレンダリング機能
このソフトの一番の売りはこのスマートレンダリング機能です。
と言っても、このスマートレンダリングって何ですか?という話ですよね。
先にも触れました通り、TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6で動画編集(カットしたり繋いだり)をすることが出来ますが、これはTMPGEnc Video Mastering Works 7でも出来ます。
では何が違うのか?
このTMPGEnc MPEG Smart Renderer 6では動画をカットしたり繋いだりした部分だけをエンコードして、それ以外のシーンはエンコードせずそのまま元のファイルのまま出力できるのです。
TMPGEnc Video Mastering Works 7の場合は、カットしたり繋いだ動画を全て丸々エンコードして出力します。つまり映像・音声共に少なからず劣化します。
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6は必要最低限の箇所だけエンコードして、それ以外は無劣化でそのまま出力できます。この無劣化出力機能を「スマートレンダリング機能」と呼んでいます。

しかし、このTMPGEnc MPEG Smart Renderer 6もTMPGEnc Video Mastering Works 7と同じ高品質なエンコードエンジンを搭載していますので、劣化部分をほとんど視認できないと思いますし、気にする必要はありません。
スマートレンダリング機能のメリット・デメリット
メリットは言うまでもなく無劣化に近い状態で不要なシーンをカットしたり、複数の動画を1つのファイルにできる事です。
つまり高画質・高音質を維持したまま動画編集を出来る事が最大のメリットです。
一方デメリットとして、ファイルサイズはたいして小さくなりません。カットしたシーン分のデータサイズは減りますが、それ以外は圧縮していませんので、ファイルサイズを小さくするという使い方は出来ません。TMPGEnc Video Mastering Works 7に任せましょう。
SMR6の注意
ファイルをカットして出力したり、あるいは複数のファイルを結合して出力する際に、自分の好きなファイル形式(コーデック)を任意に選んで出力する事は出来ません。
あくまで元のファイル形式か、複数のファイルを繋ぐ場合は選択したファイルのコーデックに準じた形で出力されます。
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6はあくまで「極力劣化を避け元のファイル(コーデック)のまま出力する」ソフトです。
任意にファイルコーデックを選びたい場合はTMPGEnc Video Mastering Works 7を使用しましょう。

裏技と言うほどでもありませんが(笑)、TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6で極力劣化なく編集・出力して、最後のエンコードをHandbrakeやfffmepなどのフリーソフトに任せるのも一つの方法です。
フリーのエンコードソフトは編集が面倒だったり、細かい設定が出来ないものもありますので、TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6で編集して、出来たファイルをフリーソフトで丸っとエンコードしてファイルサイズを小さくする。
こんな使い方も出来ますね。
BDAVオーサリング機能
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6のもう一つの売りが、BDAV形式のブルーレイオーサリング機能です。
オーサリングとは?
オーサリングとはDVDやブルーレイをプレーヤーで再生できる様にプログラミングする事です。
動画データをそのままDVDやブルーレイに書き込むのは「データ焼き」と言われ、データ焼きのディスクをプレーヤーに入れても基本的には再生できません(データ再生対応機は除きます)。
市販のプレーヤーで再生するためには対応した形式にオーサリングする必要があるのです。
ブルーレイにはいくつかの規格がありますが、ここではBDMVとBDAVの二つの規格を覚えましょう。
BDMVは市販のブルーレイディスクと同じ構造をしていて、メニューを作ることが出来ます。
一方のBDAVはブルーレイレコーダーで録画したデータをブルーレイに書き込む際に使用されるフォーマットで、メニューは作れません。
ただ、ブルーレイレコーダー用のフォーマットだけあって、BDAVはテレビ放送音声のAACコーデックを扱うことが出来ます。
その他、対応しているコーデックやフレームレート、ビットレートの上限などBDMVとBDAVとでは細かく違っていますが、
- メニューを使えるかどうか(BDMVは可)
- テレビ放送と同じAAC音声ファイルを収録できるかどうか(BDAVは可)
という点だけでも覚えておきましょう。
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6ではBDAVのオーサリングが可能となっています。
つまりメニューは作れませんが、テレビ録画した(TS抜き)データや、H.264/AVCコーデックなどで撮影したデータをブルーレイフォーマットにすることが出来る、という事です。
SMR6の注意点その2
BDAVフォーマットでオーサリングする際、予めBDAV規格に対応した動画ファイルを用意しておく必要があります。
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6でBDAV規格に対応したファイル形式に変換してくれるわけではありません。
対応していない動画ファイルの場合はオーサリング出来ませんので、たとえばTMPGEnc Video Mastering Works 7で規格内動画に変換しておくなどの準備が必要になります。
BDAVライティング機能
BDAV形式のみにはなりますが、ブルーレイへの書き込み機能も搭載されています(BDXLは非対応)。
このソフトだけでブルーレイメディアまで作れるのはとても便利です。
映像・音声ファイルの分離・多重化
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6にも映像・音声ファイルの分離・多重化機能が備わっています。
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6で出来ない事
上記で触れてきたことですが、まとめてみます。
SMR6で出来ない事
- 任意のコーデックを選択してのエンコード
- BDAV規格に準じた動画ファイルを自動エンコードする
- DVDオーサリング
- BDMVオーサリング
- テレビ録画
◆TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6
ペガシスSMR6公式
◆TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6関連記事
-
-
お気に入りの動画はTMPGEnc MPEG Smart Renderer 6で編集しよう
続きを見る
TMPGEnc Authoring Works 6
最後はTMPGEnc Authoring Works 6です。その名前にオーサリングと付いていますので、ある程度想像はつきますね?(笑)
TMPGEnc Authoring Works 6で出来る事
DVD/AVCHD/BDMVオーサリング
TMPGEnc Authoring Works 6はDVD、AVCHD、BDMVの各形式にオーサリングするためのソフトです。
AVCHDとは、H.264/AVCコーデックを利用したHD画質の映像をDVDやメモリーカードに収録して再生するための規格で、再生するには対応した再生機が必要になります。
これからオーサリングを始める人にとってはブルーレイにオーサリングした方がメリットも多いとは思いますが、私の様にDVD-Rのディスクを100枚以上余らせている場合は、AVCHDオーサリングをしてDVDに収録していくのも有効な方法です。
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6はBDAVのオーサリングに対応していましたが、TMPGEnc Authoring Works 6はBDMVに対応しています。
メニュー付きブルーレイを作成したい人はTMPGEnc Authoring Works 6を使用しましょう。
動画編集
TMPGEnc Authoring Works 6には、他のTMPGEncシリーズ同様、動画の編集機能が付いています。
基本的にはカットしたり、複数の動画を繋いだり、という簡単なものではありますが、音声の正規化などのフィルター機能もありますし、オーサリングソフトだけで編集から一気に出来てしまうのはとても魅力的です。
字幕編集
字幕を編集して表示させることが出来ます。ルビにも対応しているのは嬉しい機能です。
音声もそうですが、字幕も複数ストリームに対応していますので、多言語表示も可能です。
DVD/BDへのライティング機能
BDXLには対応していませんが、DVD-RやBD-Rなどへの書き込み機能があります。
別途ライティングソフトが不要なのも嬉しい機能です。
映像・音声ファイルの分離・多重化
TMPGEnc Authoring Works 6にも、もはやTMPGEncシリーズ定番?の映像・音声ファイルの分離・多重化機能付きです。
3ソフトの全てについている機能ですので、どれか一本持っていれば分離・多重化機能を手に入れることは可能ですね。
AW6最大の魅力
TMPGEnc Authoring Works 6 最大の魅力は、オーサリング時の動画ファイルの扱いにあります。
1.DVDやBDMVなどの規格に準拠した動画の場合、再エンコードしない
きちんと規格に準拠した動画ファイルを用意していても、オーサリング時に必ずエンコードをしてしまうソフトを見かけます。
こういったオーサリングソフトは、オーサリング時に必ず画質や音質を劣化させるということですので、避けたいところです。
その点、TMPGEnc Authoring Works 6は規格内の動画の再エンコードはしませんので安心です。
2.動画編集した場合に「スマートレンダリング」が機能する
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6と同じスマートレンダリング機能が搭載されていますので、カット編集や動画を繋いだ箇所だけをエンコードし、他のシーンを無劣化出力してくれます。
しかもエンコード時もTMPGEnc MPEG Smart Renderer 6と同じx264などの高品質エンジンを使用してくれますので、画質・音質の劣化に対するリスクから解放されます。
3.DVDやBDMVなどの規格外の動画は自動でエンコードしてくれる
基本的に極力劣化を避けて出力してくれるソフトですが、どうしても規格外の場合はTMPGEnc Authoring Works 6が自動で規格内の動画ファイルにエンコードしてくれます。
ですので初心者の方でも、用意した動画とTMPGEnc Authoring Works 6があればDVDやブルーレイが作れる!と思える安心感がありますね。
TMPGEnc Authoring Works 6で出来ない事
まとめてみます。
AW6で出来ない事
- エンコードしたファイルでの出力(必ずオーサリングが必要)
- BDAVオーサリング
- Ultra HD Blu-ray(UHD BD)オーサリング
◆TMPGEnc Authoring Works 6
リーズナブルなダウンロード版です。
ユーザーズガイドが付いてくるパッケージ版です。
ペガシスAW6公式
VMW7/SMR6/AW6の注意点
TMPGEncの3ソフトを使用するにあたり、注意すべき点があります。
インターネット認証がある
3ソフトともに、インターネットによるライセンス認証が必要になります。
その為、必ずインターネットに接続できる環境下で利用する必要があります。
ただし、起動の度にインターネット認証が必要というわけではありませんので、認証時にのみインターネットに接続する事でも対応できます。
別のパソコンで使用する場合などは、旧パソコンからソフトをアンインストールしたのち、新しいパソコンにインストールし、再度インターネット認証をすることで使用できる様になります。
※2020年10月現在の情報です。
TS抜き録画データしか扱えない
これまでも再三お伝えしてきましたが、TMPGEncの3ソフトは、ブルーレイレコーダーで録画したデータや、TS抜きされていないテレビチューナーでパソコン録画したデータを扱う事は出来ません。
必ず「TS抜き」された録画データを用意する必要があります。
逆に言いますと、TS抜き録画データさえ用意すれば、TMPGEncのソフトを使って自由自在に編集・変換できるという事でもあります。
TS抜きとは?
TS抜きとは、CCIプロテクト(コピー制御情報)つまりダビング10やコピーワンスなどの情報を「無視」して録画する事で、特定のパソコン用チューナーでそういった録画が可能になります。
この「無視」して録画する行為は違法ではありませんが、CCIプロテクトを「外す」行為は違法です。
ですのでブルーレイレコーダーで録画したデータをリッピングしたり、パソコン用チューナーで録画したデータからコピープロテクトを解除する行為は止めましょう。
◆TS抜きが可能なパソコン用テレビチューナー(売れ筋)
※専用のドライバ等が必要な場合があります。

ですので僕もそういった違法行為には反対です。
しかし、ユーザーの利便性をあまりにも損なうのもどうかと思います。
録画したテレビ番組をパソコンで編集したり、購入したブルーレイを別のデバイスで観るという権利や利便性まで奪いかねない日本の現状には、思う事もあります。
ブルーレイが売れずに動画配信サービスが流行ってきた要因の一つには、そういったことも関係しているのではないかと残念に思います。
ペガシスソフト【TVMW7/TMSR6/TAW6】を優しく解説 まとめ
ペガシスのTMPGEnc3大ソフトはとても優秀なソフトです。
全ての機能を持ったソフトも出して欲しいところですが、上手く使い分けて必要なソフトを揃えましょう。
◆TMPGEnc Video Mastering Works 7(TVMW7)
多様なフィルター処理機能を備えた多機能動画編集
高品質動画エンコード
HDRカラーグレーディングや8Kなどの最新技術に対応
こんな方におすすめ
- 動画のファイルサイズを小さくして保存したい人
- 画質・音質にこだわりたい人
- 動画編集やフィルター処理を楽に行いたい人
- 最新の技術や、多様なフォーマットの動画に対応したい人
◆TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6(TMSR6)
CM候補自動検出機能つき動画編集
スマートレンダリング機能による部分劣化エンコードが可能
ブルーレイ(BDAV)オーサリング・ライティング機能
こんな方におすすめ
- 動画ファイルを極力高品質なまま編集して保存したい人
- ブルーレイディスクで視聴したい人
◆TMPGEnc Authoring Works 6(TAW6)
DVD/AVCHD/BDMVオーサリング・ライティングソフト
不要な再エンコードなく高品質オーサリングが可能
スマートレンダリング機能付き動画編集
初心者でも安心のDVD/BD規格に自動ファイル変換
こんな方におすすめ
- DVD/AVCHD/メニュー付きブルーレイを作りたい人
- DVDやブルーレイを作りたいが、知識がない初心者の人
- 画質や音質を劣化させることなくDVDやブルーレイを作りたい上級者
以上です。ご参考になれば嬉しいです。